ジュネーブサロン2017のジャガー・ルクルトの話題は、セクターダイヤルに軍配が上がるが、レベルソにもいくつか見逃せないスタイリッシュなアップデートがあった。
年が改まるとまた新たなレベルソに出会う。色んな意味でジャガー・ルクルトは、自社の反転ウォッチ人気の犠牲となってきたと私は思う。ハングリーなコレクターたちを満足させるために、毎年繰り返し新しいものを送り出さなければならないからだ。ジャガー・ルクルトの2017年のビッグニュースは、セクターダイヤルのラウンドウォッチだったが、一方でレベルソにもいくつか素晴らしいアップデートがなされていた。今回紹介する圧倒的に素晴らしいモデルもそのひとつだ。
以前私は、ここ数年で最もお気に入りのレベルソのひとつをA Week On The Wristで取り上げた。この上なく洗練された、レベルソ・トリビュート・カレンダーだ。しかし今回紹介するモデルは、あの時計を少し削ぎ落して本質を残したものだ。まず第一の要素は、ケースがステンレススティールになったことだ。そして、より込み入ったトリプルカレンダーではなく、日付表示とムーンフェイズ表示のついたデュアルタイムゾーンだけに留めている。結果として、兄貴分のトリビュート・カレンダーよりもかなりカジュアルになった。日付は変わらず6時位置にあり、先に赤い三日月のついた小さな針で示される。
ジャガー・ルクルトはまた、この時計のセカンドタイムゾーンを表示する裏面を(これは通常、旅先でホーム時刻をキープしておくためのもの)美しいブルーのダイヤルにしている。これは、ジャガー・ルクルトの中では非常にモダンな色合いで、実にうまくマッチしている。表面の乳白色のダイヤルと裏面のクル・ド・パリのダイヤルのコントラストが素晴らしいのだ。6時位置には2種類の青を使った昼夜表示があり、アプライドインデックスとポリッシュ仕上げの針がついている。シャネル時計j12これは魅力的な組み合わせを、個人的にとても気に入っている。
現地時刻用のダイヤルは、トリビュート・カレンダーと非常に似ており、 艶消しシルバーのダイヤルがムーンフェイズ表示をポップに仕上げている。月と日付の開口部がなくなったため、ブランドロゴも上部に改められ、ダイヤルのバランスがよくなった。
ダイヤルが複数の層になっていることにも気づくだろう。日付表示は一段低くなっており、艶消しは施されていない。それによって全体的な視認性が格段に高くなっており、これも小さなお気に入りポイントだ。また、針、時刻のアプライドインデックス、そしてチャプターリングは、すべてブルーで、シルバー色の背景によく映え、ムーンフェイズ表示の空の色とも調和がとれている。
搭載されているのは、自社製の手巻きキャリバー853Aで、ムーブメントの両面にひとつずつのディスプレイがあり動かしている。このムーブメントは、残念ながらトリビュート・カレンダーに入っているものとほとんど同じ厚さである。つまりジャガー・ルクルトは、同じケースにそれを入れただけであり、これまでもそういったことはよくあった。10.9mmは相対的にいえば非常に薄いものの、できればもっと薄いものがよかったと思う。
ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・ムーンの価格は137万2000円(税抜)、 ブルーのアリゲーターストラップがついている。特筆すべきは、これは、同じくSS製のデュアルタイムゾーンで、日付表示とムーンフェイズ表示のないレベルソ トリビュート・デュオよりも、約30万円高いだけだ。トリビュート・デュオには、6時位置にスモールセコンドがついている。